交通事故でむち打ちになった場合、慰謝料はいくらもらえるのでしょうか?
実は、慰謝料には「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つの算定基準があり、どの基準で計算するかによって金額が2〜3倍も変わってきます。
保険会社が提示してくる金額は、最も低い「自賠責基準」または「任意保険基準」で計算されていることがほとんどです。
しかし、弁護士に依頼すれば、最も高額な「弁護士基準」で請求できるため、慰謝料が大幅に増額される可能性があります。
例えば、むち打ちで3ヶ月通院した場合、自賠責基準では最大38.7万円ですが、弁護士基準では53万円になります。
この記事では、むち打ちの慰謝料について、弁護士基準での通院期間別相場(1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月)、3つの算定基準の違い、後遺障害14級・12級が認定された場合の慰謝料、慰謝料を増額するための5つのポイントなどを、わかりやすく解説します。
正当な慰謝料を受け取るための知識を身につけましょう。
むちうちとは?交通事故で最も多い怪我

むちうちの定義と症状
むち打ち(むちうち症、頸椎捻挫)とは、交通事故の衝撃で首が鞭のようにしなり、頸椎(首の骨)やその周辺の筋肉、靭帯、神経などが損傷する怪我のことです。
主な症状:
- 首の痛み、こり
- 頭痛、めまい
- 吐き気
- 肩こり、腕のしびれ
- 倦怠感、集中力の低下
- 視力障害、耳鳴り
むちうちの特徴
特徴1:事故直後は症状が出ないことがある
むちうちは、事故直後は痛みを感じず、数時間〜数日後に症状が現れることがあります。そのため、事故後は必ず病院を受診することが重要です。
特徴2:他覚所見が得られにくい
むちうちは、レントゲンやMRIなどの画像検査で異常が確認できないことが多く、「他覚所見がない」と判断されることがあります。
特徴3:症状が長引くことがある
軽症であれば1〜3ヶ月程度で完治することが多いですが、症状が長引く場合もあり、後遺症が残ることもあります。
むちうちの慰謝料の3つの算定基準

交通事故の慰謝料には、3つの算定基準があります。どの基準で計算するかによって、金額が大きく異なります。
基準1:自賠責基準
- 最低限の補償を目的とした基準
- 3つの基準の中で最も低額
- 日額4,300円で計算される
- 日額4,300円 × 対象日数
対象日数は、以下のうち少ない方
- 実通院日数 × 2
- 総治療期間(初診日〜最終通院日)
基準2:任意保険基準
特徴:
- 保険会社が独自に定めた基準
- 自賠責基準よりやや高いが、弁護士基準より低い
- 保険会社によって異なり、公開されていない
基準3:弁護士基準(裁判基準)
特徴:
- 過去の裁判例に基づいた基準
- 3つの基準の中で最も高額
- 法的に正当な金額
- 「赤い本」(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準)に掲載
計算方法: 通院期間に応じて算定表で金額が決まる
【早見表】むち打ちの慰謝料:弁護士基準vs自賠責基準

通院期間別の慰謝料比較表
| 通院期間 | 自賠責基準(最大額) | 弁護士基準(むち打ち) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月 | 約12.9万円 | 19万円 | 約6.1万円 |
| 2ヶ月 | 約25.8万円 | 36万円 | 約10.2万円 |
| 3ヶ月 | 約38.7万円 | 53万円 | 約14.3万円 |
| 4ヶ月 | 約51.6万円 | 67万円 | 約15.4万円 |
| 5ヶ月 | 約64.5万円 | 79万円 | 約14.5万円 |
| 6ヶ月 | 約77.4万円 | 89万円 | 約11.6万円 |
※自賠責基準は、1ヶ月に15日通院(週3〜4回)した場合の最大額 ※弁護士基準は、他覚所見がないむち打ちの場合(赤い本・別表Ⅱ)
具体例:3ヶ月通院した場合
- 総治療期間:90日
- 実通院日数:45日(週3〜4回通院)
- 自賠責基準: 4,300円 × 90日 = 38.7万円 (実通院日数×2=90日 < 総治療期間90日なので、90日が対象日数)
- 弁護士基準: 53万円
- 差額: 53万円 – 38.7万円 = 14.3万円の増額
このように、同じ通院期間でも、弁護士基準で請求すれば約14万円多く受け取れます。
むちうちで後遺障害が認定された場合の慰謝料

むちうちの症状が残り、症状固定(これ以上治療しても改善が見込めない状態)と判断された場合、後遺障害等級の認定を申請できます。
むち打ちで認定される可能性がある後遺障害等級
- 後遺障害14級9号: 「局部に神経症状を残すもの」
- 後遺障害12級13号: 「局部に頑固な神経症状を残すもの」
14級と12級の違いは、「頑固な」という言葉の有無です。12級は、他覚所見(MRIなどで神経圧迫が確認できる等)があることが条件となります。
後遺障害慰謝料の相場
| 後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 14級9号 | 32万円 | 110万円 | 78万円 |
| 12級13号 | 94万円 | 290万円 | 196万円 |
慰謝料の合計額(入通院慰謝料 + 後遺障害慰謝料)
- 入通院慰謝料:89万円
- 後遺障害慰謝料:110万円
- 合計:199万円
- 入通院慰謝料:89万円
- 後遺障害慰謝料:290万円
- 合計:379万円
さらに、後遺障害が認定されると、「逸失利益」(後遺症によって失われる将来の収入)も請求できるため、賠償金総額はさらに増加します。
逸失利益の目安
- 後遺障害14級: 労働能力喪失率5%、労働能力喪失期間5年程度が目安
- 後遺障害12級: 労働能力喪失率14%、労働能力喪失期間10年程度が目安
例:年収400万円の30代会社員が後遺障害14級に認定された場合の逸失利益 400万円 × 5% × 5年(ライプニッツ係数を考慮)= 約90〜100万円
むちうちの慰謝料を増額するための5つのポイント

ポイント1:弁護士基準で請求する
保険会社は自賠責基準や任意保険基準で提示してきますが、弁護士に依頼すれば弁護士基準で請求できます。
これだけで慰謝料が1.5〜2倍になることも珍しくありません。
ポイント2:適切な通院頻度を守る
通院頻度が少なすぎると、「軽傷だった」と判断され、慰謝料が減額される可能性があります。
推奨される通院頻度:
- 週2〜3回程度(症状が重い場合は週4〜5回)
- 医師の指示に従って通院する
- 自己判断で通院を中断しない
ポイント3:症状を正確に医師に伝える
痛みや違和感があれば、我慢せず必ず医師に伝え、カルテに記録してもらいましょう。
記録がないと、後から症状を主張しても認められません。
伝えるべき症状:
- 首の痛み、可動域制限
- 頭痛、めまいの頻度と程度
- 肩こり、腕のしびれ
- 日常生活への影響
ポイント4:後遺障害等級認定を適切に受ける
症状が残った場合は、適切な後遺障害等級認定を受けることで、慰謝料が大幅に増額されます。
認定を受けるためのポイント:
- 症状固定まで治療を継続する(6ヶ月程度が目安)
- 後遺障害診断書を専門医に丁寧に書いてもらう
- 必要に応じてMRI検査などを受ける
- 弁護士に相談して異議申立ても検討する
ポイント5:治療費を打ち切られても通院を続ける
保険会社は、治療が長引くと治療費を打ち切ろうとすることがあります。
しかし、医師が治療の必要性を認めている場合は、自費でも通院を継続しましょう。後から請求できます。
弁護士に依頼するメリットと費用

弁護士に依頼する5つのメリット
メリット1:慰謝料が大幅に増額される
弁護士基準で請求できるため、保険会社の提示額より1.5〜2倍増額されることが多い
メリット2:保険会社との交渉をすべて任せられる
面倒なやり取りから解放され、治療に専念できる
メリット3:適切な後遺障害等級認定のサポート
後遺障害診断書のチェックや異議申立てをサポート
メリット4:治療費の打ち切りに対抗できる
医学的根拠をもとに治療継続の必要性を主張
メリット5:過失割合を適正に交渉できる
過去の判例をもとに適正な過失割合を主張
弁護士費用の相場
- 着手金:10万円〜30万円(無料の事務所もあり)
- 成功報酬:増額分の10〜20% + 固定額11〜22万円程度
- 具体例: 慰謝料が50万円増額された場合
- 着手金:10万円
- 成功報酬:50万円 × 10% + 11万円 = 16万円
- 弁護士費用合計:26万円
- 手元に残る増額分:24万円
弁護士費用特約を利用すれば自己負担ゼロ
自動車保険に「弁護士費用特約」が付帯されている場合(加入率約70%)、弁護士費用を保険会社が負担してくれます。
補償上限:
- 弁護士費用:最大300万円
- 法律相談料:最大10万円
多くの場合、この範囲内で収まるため、自己負担ゼロで弁護士に依頼できます。
むちうちの慰謝料でよくある質問(Q&A)

Q1:むちうちで通院1ヶ月の場合、慰謝料はいくらですか?
A:弁護士基準では19万円です。自賠責基準では最大12.9万円程度(実通院日数によって変動)です。
Q2:通院頻度が少ない場合、慰謝料は減額されますか?
A:はい、可能性があります。弁護士基準では原則として通院期間で計算しますが、通院頻度が極端に少ない場合(月1〜2回など)は、実通院日数の3倍を通院期間とすべきと保険会社から主張されることがあります。
週2〜3回程度の通院を心がけましょう。
Q3:むちうちでも後遺障害は認定されますか?
A:はい、認定される可能性があります。症状が6ヶ月以上続き、症状固定と判断された場合、後遺障害14級または12級に認定される可能性があります。
Q4:保険会社が3ヶ月で治療費を打ち切ると言ってきました。どうすればいいですか?
A:医師が治療の必要性を認めている場合は、自費でも通院を継続し、後から請求しましょう。弁護士に依頼すれば、医学的根拠をもとに治療継続の必要性を主張できます。
Q5:自賠責基準と弁護士基準で2倍以上の差がありますが、本当に増額できますか?
A:はい、可能です。弁護士に依頼すれば、弁護士基準で請求できるため、多くのケースで保険会社の提示額より1.5〜2倍以上増額されています。
Q6:事故から時間が経っていますが、弁護士に相談できますか?
A:示談書にサインする前であれば、いつでも弁護士に相談できます。保険会社の提示額に納得できない場合は、サインせずにすぐに弁護士に相談しましょう。
Q7:むちうちで弁護士費用特約は使えますか?
A:はい、使えます。交通事故によるむち打ちは、弁護士費用特約の適用対象です。保険証券を確認し、特約に加入していれば積極的に活用しましょう。
むちうちの慰謝料請求の流れ

STEP 1:事故直後の対応
- 警察に届け出る(人身事故として届出)
- 病院を受診し、診断書をもらう
- 事故状況の記録を残す(写真、目撃者など)
STEP 2:治療・通院
- 医師の指示に従って適切に通院する(週2〜3回程度)
- 症状を正確に医師に伝え、カルテに記録してもらう
- 領収書をすべて保管する
STEP 3:症状固定または完治
- 医師が症状固定と判断したら治療終了
- 症状が残っている場合は後遺障害診断書を作成してもらう
STEP 4:後遺障害等級認定の申請(該当する場合)
- 後遺障害診断書を損害保険料率算出機構に提出
- 認定結果が出るまで1〜2ヶ月程度
STEP 5:保険会社から示談案の提示
- 保険会社から慰謝料の提示がある
- この段階で弁護士に相談することを強く推奨
STEP 6:弁護士に依頼して増額交渉
- 弁護士が弁護士基準で慰謝料を再計算
- 保険会社と交渉し、増額を求める
STEP 7:示談成立・示談金の受取
- 双方が合意したら示談書にサイン
- 3営業日〜2週間程度で示談金が振り込まれる
記事まとめ

むちうちの慰謝料は、どの算定基準で請求するかによって金額が大きく異なります。
交通事故でむちうちになった場合、保険会社の提示額が適正かどうかを判断するために、まずは弁護士の無料相談を利用することをおすすめします。
適切な知識と専門家のサポートがあれば、正当な慰謝料を受け取り、安心して治療や日常生活に専念できる環境を整えることができます。


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