交通事故で多いむちうち症は、治療期間や症状の度合いによって慰謝料の額が大きく変わります。
また、保険会社から提示される慰謝料が適正額より低いケースも多く、適切な補償を得るためには弁護士への相談が重要です。
本記事では、むちうち慰謝料の基礎知識から相場、弁護士に依頼するメリットや弁護士費用のポイントまでわかりやすく解説します。むちうち慰謝料で損をしないために、ぜひ参考にしてください。
むちうち慰謝料とは?発生するケースと種類

交通事故によるむちうちの慰謝料は、精神的・肉体的な苦痛に対する賠償金です。
むちうちの場合、主に以下の2種類の慰謝料が請求できます。
1. 入通院慰謝料
交通事故で負ったむちうちの治療のために通院や入院をした期間に対して支払われる慰謝料です。
治療期間や実際の通院日数、症状の程度などを基に算定されます。
多くの場合、むちうちの治療期間は2〜3ヶ月程度ですが、症状によっては6ヶ月以上かかることもあります。
2. 後遺障害慰謝料
むちうちの症状が改善せず、後遺障害等級の認定を受けた場合に請求できる慰謝料です。
後遺障害等級は1級から14級まであり、認定される等級に応じて慰謝料の金額が決まります。
【慰謝料の基準】
慰謝料の額は、請求する際の基準によって変わります。主に以下の3つの基準が使われます。
- 自賠責基準:国が定めた最低限の基準で、慰謝料は最も低くなることが多いです。
- 任意保険基準:各保険会社が独自に定める基準で、自賠責基準よりは高めですが非公開の場合が多いです。
- 弁護士基準(裁判基準):過去の裁判例をもとにした基準で、最も高額な慰謝料が認められることが多いです。
むちうち慰謝料の金額は、この基準の違いで大きく変わるため、弁護士に相談することでより適正な金額を受け取れる可能性が高まります。
交通事故における”むちうち慰謝料”の相場|自賠責・任意保険・弁護士基準

交通事故でむちうちの慰謝料請求をする場合、慰謝料の算定基準によって金額が大きく異なります。主な3つの基準とそれぞれの相場を紹介します。
自賠責保険が定める最低限の補償基準です。
実通院日数や治療期間に応じて日額×通院日数で計算され、目安としては以下の範囲です。
例:軽傷(むちうちなど)の場合→およそ8万6千円〜51万6千円程度
自賠責基準は最低補償のため、慰謝料は最も低くなりがちです。
各保険会社が独自に設定する基準で、自賠責基準よりやや高い金額が提示されることが多いですが、基準は非公開。
一般的に自賠責基準より少し高めで、むちうちの場合の相場はおよそ12万6千円〜64万2千円程度とされています。
しかし、近年では自賠責基準と大差ないケースも増えています。
裁判例を基に作成された基準で、最も高額な慰謝料が認められます。弁護士に依頼しないとこの基準での算定は難しいケースが多いです。
むちうちの慰謝料相場はおよそ19万円〜89万円が目安です。
通院期間が長くなるほど増額される傾向があります。
入通院期間別の慰謝料相場
交通事故のむちうち慰謝料は、治療のための入通院期間が長くなるほど相場も高くなります。
以下は入通院期間ごとの慰謝料相場の目安で、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準それぞれの金額を比較したものです。
| 通院期間 | 自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月(約10日) | 約8.6万円 | 約12.6万円 | 約19万円 |
| 2ヶ月(約20日) | 約17.2万円 | 約25.2万円 | 約36万円 |
| 3ヶ月(約30日) | 約25.8万円 | 約37.8万円 | 約53万円 |
| 4ヶ月(約40日) | 約34.4万円 | 約47.8万円 | 約67万円 |
| 5ヶ月(約50日) | 約43万円 | 約56.8万円 | 約79万円 |
| 6ヶ月(約60日) | 約51.6万円 | 約64.2万円 | 約89万円 |
この表はあくまで目安ですが、表の通り弁護士基準は自賠責基準の約2倍以上の金額が期待できる場合が多いことがわかります。
実際の慰謝料は治療内容や症状の重さ、後遺障害の有無によっても変わるため、専門家である弁護士に相談するのが安心です。
むちうち慰謝料は弁護士で増額できる?依頼するメリットと事例

むちうちの慰謝料は、保険会社から提示される金額が実際の適正額より低くなることが多いです。
専門家の弁護士に依頼することで、裁判基準(弁護士基準)に基づく交渉が可能になり、慰謝料が大幅に増額されるケースが多く見られます。
【弁護士に依頼するメリット】
- 裁判基準での慰謝料請求により、保険会社提示額より高額な獲得が期待できる
- 保険会社との複雑な交渉を代行してもらえるため、精神的負担が軽減される
- 医療記録の見直しや後遺障害認定申請のサポートも受けられる
- 示談交渉の法律的知識や経験を活かした有利な条件交渉が可能
増額事例の紹介
気になる弁護士費用と依頼のタイミング|弁護士特約の活用も

むちうち慰謝料の増額を目指して弁護士に依頼する場合、費用面が気になる方も多いでしょう。
一般的な弁護士費用の相場や依頼のタイミング、さらに費用負担を抑えるための弁護士特約の活用について解説します。
弁護士費用の相場
弁護士に依頼すると主に以下の費用が発生します。
- 相談料:無料から1万円程度(30分あたり)
- 着手金:一般的に20万円〜50万円程度が相場
- 報酬金(成功報酬):増額した慰謝料の10%〜20%程度が多い
ただし、弁護士費用は増額した慰謝料の一部から支払うため、増額できなければ費用は抑えられます。
また増額分が費用を上回るケースが多いので、「費用倒れ」のリスクは比較的低いといえます。
できるだけ早めの相談が増額成功の鍵です。事故後すぐに弁護士に依頼すると、適切な治療期間の確保や資料収集においても有利に働きます。示談交渉が本格化する前に相談するのがおすすめです。
弁護士特約の活用
弁護士特約とは、自動車保険に付帯できる特約のひとつで、弁護士に相談や依頼をする際の費用を保険会社が補償してくれる制度です。
むちうち事故などの交通事故で慰謝料請求を弁護士に任せる際、弁護士費用の自己負担をグッと減らせるため、多くの方が安心して利用しています。
活用のポイントは以下の通りです。
- 加入している自動車保険に弁護士特約が付いているかまず確認する。
- 保険会社に連絡し、「弁護士特約を使いたい」と伝えるだけで手続きが進む。
- 弁護士費用(相談料・着手金・報酬金など)を保険会社が補償するため、自己負担がほぼゼロになることが多い。
- 契約者本人だけでなく、配偶者や同居家族も利用可能な場合が多い。
弁護士特約を活用すると、費用面の不安が軽減されるので、積極的に利用を検討しましょう。
むちうち慰謝料で後悔しないためのポイント

むちうちの慰謝料を適切に受け取るためには、いくつか重要なポイントを押さえておくことが大切です。
以下のポイントを守ることで、慰謝料での後悔を防ぎやすくなります。
慰謝料請求には診断書や検査結果が重要な証拠となります。事故直後から定期的に必要な検査を受け、医師の証拠書類をきちんと保存しましょう。
症状固定(治療の改善が見込めないと判断される時期)を正しく診断してもらうことが大切です。治療をやめてしまうと慰謝料額に影響するため、医師としっかり相談しましょう。
慰謝料の増額交渉や適正な請求には弁護士の知識が役立ちます。示談前に早めに相談することで、治療期間や資料の管理も有利に進められます。
むちうちで症状が残る場合、後遺障害等級の認定を受けることで慰謝料が大幅に増額する可能性があります。自覚症状を詳しく申告し、必要に応じて等級認定の手続きを行いましょう。
記事まとめ|むちうち慰謝料で後悔しないために弁護士相談を活用しましょう

交通事故でむちうちを負った際、慰謝料の金額は基準や手続きの知識によって大きく変わります。
自賠責や保険会社の基準だけでなく、弁護士基準で請求することで増額の可能性が高まるため、専門家への相談がとても重要です。
弁護士に依頼すれば、慰謝料の相場に精通した交渉や後遺障害認定のサポートを受けられ、適正な補償を得やすくなります。
慰謝料は示談後に増額交渉が難しいため、後悔しないためにもぜひ弁護士相談を活用しましょう。

