交通事故の示談交渉中に、突然相手側から弁護士の連絡が来て戸惑っていませんか。
「弁護士が出てくると不利になるのでは」「こちらも弁護士を立てなければならないのか」「費用はどうなるのか」など、不安や疑問を感じる方は少なくありません。
結論から言えば、相手側に弁護士がついた場合、あなたも速やかに弁護士に相談・依頼することを強くおすすめします。
なぜなら、法律の専門家である弁護士と一般の方が直接交渉すると、知識や交渉力の差により、本来得られるはずの正当な賠償額を受け取れない可能性が高いからです。
本記事では、交通事故の示談で相手側の弁護士が出てきた場合に知っておくべき知識、適切な対応方法、弁護士に依頼するメリット、費用の問題まで、実践的な情報を包括的に解説します。
相手側の弁護士が出てきたらまず確認すべきこと

交通事故の示談交渉中に相手側の弁護士から連絡が来た場合、慌てずに以下の点を確認しましょう。
受任通知の内容を確認する
相手側が弁護士に依頼した場合、通常は受任通知という書面が送られてきます。これは、弁護士がその事件の代理人になったことを正式に通知するものです。
受任通知に記載されている主な内容:
- 弁護士の氏名と所属する法律事務所の名称・連絡先
- 依頼者(相手側)の氏名
- 事故の日時・場所などの基本情報
- 今後の連絡窓口は弁護士になること
- 示談案や損害賠償額の提示(ある場合)
受任通知を受け取ったら、まず内容をよく読み、誰の代理人なのか(加害者本人か、加害者の保険会社か)を確認してください。
多くの場合、加害者本人が弁護士を立てるケースですが、稀に保険会社が弁護士を依頼することもあります。
誰の代理人なのかを明確にする
受任通知には、弁護士が誰の代理人として交渉するのかが明記されています。
主なパターン:
- 加害者本人の代理人:最も一般的なケース
- 加害者が加入する保険会社の代理人:稀なケースだが、複雑な事案で発生することがある
- 加害者と保険会社の双方の代理人:利益相反がない場合に限られる
誰の代理人かによって、交渉の進め方や争点が変わることがあるため、必ず確認しましょう。
示談案が提示されている場合の注意点
受任通知と一緒に示談案や損害賠償額が提示されている場合があります。
この時点で重要なのは、すぐに承諾しないことです。
安易に承諾してはいけない理由:
- 提示額が適正かどうか、一般の方には判断が難しい
- 弁護士基準(裁判基準)と比較して低額な可能性が高い
- 一度示談に合意すると、後から覆すことは極めて困難
- 本来請求できる損害項目が含まれていない可能性がある
示談案を受け取ったら、回答を保留し、まずは専門家(弁護士や無料相談窓口)に相談して内容を精査してもらうことが重要です。
相手側の弁護士に直接連絡すべきか
受任通知を受け取った後、相手側の弁護士に直接連絡を取るべきかどうか迷う方もいるでしょう。
基本的な対応:
- 回答期限が明示されている場合:無視せず、「内容を検討中です」という旨を伝える
- 急ぎの回答を求められている場合:「弁護士に相談してから回答します」と伝える
- 不明点がある場合:質問して構わないが、示談条件については即答を避ける
相手側の弁護士に直接連絡しても構いませんが、示談条件や賠償額について即答したり、こちらに不利な発言をしたりしないよう注意が必要です。
できれば、こちらも弁護士に依頼してから、弁護士同士で交渉してもらう方が安全です。
なぜ相手側は弁護士を立てるのか

交通事故の示談交渉で相手側が弁護士を立てる理由を理解することで、状況を冷静に把握できます。
賠償金を抑えたいという意図
相手側(加害者)が弁護士を立てる最大の理由の一つは、支払う賠償金をできるだけ抑えたいというものです。
特に以下のようなケースで、加害者は弁護士に依頼する傾向があります。
- 被害者が請求する賠償額が高額である
- 加害者に十分な保険がなく、自己負担額が大きい
- 過失割合に納得できない
- 後遺障害等級に不服がある
弁護士は法律の専門家として、加害者側に有利な主張を組み立て、賠償額を減額するための交渉を行います。
一般の被害者が相手をすると、法律知識や交渉技術の差により、不利な条件を受け入れてしまうリスクがあります。
過失割合で争いたい
交通事故では、過失割合(事故の責任の割合)が賠償額に大きく影響します。例えば、被害者の過失が10%増えると、受け取れる賠償額は10%減少します。
過失割合が争点になるケース:
- 信号のない交差点での出会い頭の事故
- 車線変更時の接触事故
- 歩行者と車両の事故
- バイクと車の事故
加害者側は、被害者の過失割合を少しでも高く主張することで、自らの支払額を減らそうとします。
過失割合の判断には、過去の裁判例や道路交通法の知識が必要であり、弁護士が介入することで、加害者に有利な主張を展開しやすくなります。
法的に適切な主張をしたい
すべての加害者が悪意を持って弁護士を立てるわけではありません。中には、法的に適切な解決を望むという理由で弁護士に依頼するケースもあります。
適切な解決を望むケース:
- 被害者の請求内容が相場から大きく外れている
- 事故の状況について事実と異なる主張がされている
- 感情的な対立があり、冷静な話し合いができない
- 複雑な法律問題が絡んでいる
このような場合、弁護士が介入することで、感情的な対立を避け、法的に妥当な解決に導くことができます。被害者側から見ても、こうしたケースでは弁護士同士の交渉の方がスムーズに進むことがあります。
保険会社との関係で弁護士が必要
加害者が加入している保険に「示談代行サービス」がついていない場合や、保険会社が示談代行を拒否した場合、加害者自身が交渉しなければなりません。
保険会社が示談代行できないケース:
- 加害者の過失割合が0%の場合(法律上、保険会社は代理交渉できない)
- 無保険の場合
- 保険の補償範囲外の事故
こうした状況では、加害者は自力で交渉するか、弁護士に依頼するかの選択を迫られます。法律知識のない加害者が不利にならないよう、弁護士に依頼するのは自然な選択といえます。
こちらも弁護士を立てるべき理由

相手側に弁護士がついた場合、あなたも弁護士に依頼すべき理由は明確です。
法律知識と交渉力の圧倒的な差
弁護士は法律の専門家であり、交通事故の損害賠償に関する深い知識と豊富な交渉経験を持っています。
知識・経験の差がもたらす影響:
- 法律用語や複雑な法律論に圧倒される
- 相手の主張の正当性を判断できない
- 反論すべきポイントがわからない
- 有利な証拠や主張を見落とす
- 交渉の場で言いくるめられるリスク
例えば、相手の弁護士から「この過失割合は判例に基づいた妥当なものです」と言われた場合、その判例が本当に適用できるのか、他にもっと有利な判例はないのか、一般の方が判断するのは困難です。
法律知識の差により、本来認められるはずの損害項目を見落としたり、不当に低い賠償額で示談してしまったりするリスクが高まります。
適正な賠償額を受け取れない可能性
交通事故の損害賠償額の算定には、3つの基準があります。
損害賠償額の3つの基準:
- 自賠責基準:法律で定められた最低限の補償額。最も低額
- 任意保険基準:各保険会社が独自に設定した基準。自賠責基準よりは高いが、弁護士基準より低い
- 弁護士基準(裁判基準):過去の裁判例に基づいた基準。3つの中で最も高額
基準による賠償額の違い(例:むちうちで通院3ヶ月の場合):
- 自賠責基準:約38万円
- 任意保険基準:約50万円〜60万円
- 弁護士基準:約73万円
相手側の弁護士が提示する金額は、自賠責基準や任意保険基準に近いことが多く、弁護士基準と比べて大幅に低額です。
弁護士に依頼しないまま示談すると、本来得られるはずだった数十万円〜数百万円を失う可能性があります。
精神的負担から解放される
交通事故の被害に遭っただけでも大きなストレスですが、その上で相手側の弁護士と直接交渉するのは、想像以上の精神的負担になります。
示談交渉によるストレス:
- 法律用語が飛び交う難解な書面を読み解く労力
- 相手の弁護士からの連絡対応に追われる
- 反論や主張を組み立てるための調査・準備
- 交渉が長期化することへの不安
- 「言い負かされるのでは」という恐怖感
- 仕事や日常生活への影響
弁護士に依頼すれば、これらの交渉をすべて任せることができ、あなたは治療や日常生活の回復に専念できます。弁護士が代理人として前面に立つことで、精神的な負担が大幅に軽減されます。
適切な過失割合を主張できる
過失割合は、過去の裁判例を基に判断されますが、事故の状況は千差万別であり、同じ類型の事故でも細かい状況によって割合が変わることがあります。
弁護士が過失割合交渉で行うこと:
- 過去の類似判例の調査
- 事故現場の状況分析
- ドライブレコーダーや目撃証言などの証拠収集
- 有利な判例や法律論に基づく主張
- 相手の主張に対する的確な反論
一般の方が独力でこれらを行うのは非常に困難です。弁護士であれば、専門的な知識と経験を活かして、あなたに有利な過失割合を導き出すための主張を組み立てることができます。
過失割合が5%違うだけで、受け取れる賠償額は大きく変わります。例えば、総損害額が500万円の場合、過失割合が10%違えば50万円の差が生じます。
後遺障害等級の適切な認定
交通事故で後遺症が残った場合、後遺障害等級の認定を受けることで、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できます。
後遺障害等級認定の重要性:
- 等級によって慰謝料額が大きく異なる(数十万円〜数千万円の差)
- 適切な等級を得るには医学的・法律的知識が必要
- 後遺障害診断書の内容が認定結果を左右する
- 一度認定された等級を覆すのは困難
弁護士に依頼すれば、以下のサポートが受けられます。
- 適切な後遺障害診断書の取得をサポート
- 必要な検査や画像診断の助言
- 等級認定申請の手続き代行
- 認定結果に不服がある場合の異議申立て
特に、相手側に弁護士がついている場合、後遺障害等級について争われる可能性が高く、専門家のサポートが不可欠です。
こちらが弁護士に依頼する方法

相手側に弁護士がついたことがわかったら、速やかにこちらも弁護士に相談・依頼しましょう。
弁護士費用特約を確認する
まず最初に確認すべきなのは、あなたが加入している保険に弁護士費用特約がついているかどうかです。
交通事故の損害賠償請求を弁護士に依頼する際の費用を、保険会社が負担してくれる特約です。一般的に、弁護士費用は300万円まで補償されます。
弁護士費用特約のメリット:
- 弁護士費用の自己負担がゼロまたは最小限
- 特約を使っても保険料は上がらない(等級に影響しない)
- 安心して弁護士に依頼できる
確認すべき保険:
- 自分の自動車保険
- 配偶者や同居家族の自動車保険
- 火災保険
- 傷害保険
- クレジットカードに付帯する保険
弁護士費用特約は、自分が加入している保険だけでなく、家族の保険に付帯していることもあります。複数の保険証券を確認しましょう。
弁護士費用特約がある場合、保険会社に連絡して特約の利用を申し出ます。保険会社から弁護士を紹介されることもありますが、自分で選んだ弁護士に依頼することも可能です。
弁護士費用特約がない場合の対処法
弁護士費用特約がない場合でも、弁護士に依頼するメリットは十分にあります。
弁護士費用の相場:
- 着手金:10万円〜30万円(事案により異なる)
- 報酬金:獲得した賠償金の10〜20%程度
弁護士に依頼することで、賠償金が大幅に増額されることが多く、増額分が弁護士費用を上回るケースが一般的です。
費用例:
- 保険会社提示額:200万円
- 弁護士介入後の獲得額:350万円
- 増額分:150万円
- 弁護士費用:約50万円
- 実質的な利益:100万円
特に、後遺障害が残っている場合や、過失割合で大きな争いがある場合は、弁護士に依頼することで数百万円単位で賠償額が増えることもあります。
費用を抑える方法:
- 無料相談を活用:多くの法律事務所が初回相談無料
- 成功報酬型の弁護士:着手金が不要または低額で、成功報酬のみの事務所もある
- 法テラスの利用:収入が一定額以下の場合、法テラスを通じて弁護士費用の立替制度を利用できる
交通事故に強い弁護士の選び方
弁護士ならば誰でも良いわけではありません。交通事故案件の経験が豊富な弁護士を選ぶことが重要です。
交通事故に強い弁護士の特徴:
- 交通事故案件の取扱件数が多い
- 交通事故に関する専門ページや解説記事を公開している
- 後遺障害等級認定のサポート実績がある
- 保険会社との交渉経験が豊富
- 必要に応じて訴訟も辞さない姿勢
選び方のポイント:
ホームページで過去の解決事例や取扱件数を確認しましょう。具体的な増額事例が掲載されていると参考になります。
- こちらの話をしっかり聞いてくれるか
- わかりやすく説明してくれるか
- 見込みや方針を明確に示してくれるか
- 費用について透明性があるか
何度か事務所に足を運ぶ可能性があるため、通いやすい場所にある事務所を選ぶと便利です。ただし、現在はオンライン相談や電話での打ち合わせが可能な事務所も多いです。
可能であれば、2〜3人の弁護士に無料相談し、対応や見解を比較してから決めるのがおすすめです。
無料相談窓口の活用
弁護士に依頼する前に、無料で相談できる窓口を活用することもできます。
主な無料相談窓口:
- 電話や面談で法律相談ができる
- 収入が一定額以下の場合、弁護士費用の立替制度も利用可能
- 予約制
- 全国の弁護士会が運営
- 交通事故に特化した無料相談
- 示談のあっせん(和解の仲介)も行う
- 中立的な立場で交通事故の紛争を解決
- 無料で相談・和解あっせんを受けられる
- 全国10カ所に拠点
- 30分5,500円程度で相談できる(初回無料の場合もある)
- 交通事故専門の相談日を設けている弁護士会もある
これらの窓口で相談し、必要に応じて弁護士に正式に依頼する流れが一般的です。
弁護士に依頼しない場合の選択肢

事情により弁護士に依頼できない場合でも、いくつかの選択肢があります。
自分の保険会社の示談代行サービスを利用
あなたが被害者で、かつ過失割合があなたにも少しでもある場合、あなたの加入する保険会社の示談代行サービスを利用できます。
保険会社の担当者が、あなたの代わりに相手側と示談交渉を行うサービスです。多くの自動車保険に標準で付帯しています。
メリット:
- 費用がかからない
- 保険会社のプロが交渉してくれる
- 法律知識のない相手との交渉より安心
デメリット:
- 保険会社は自社の支払いを抑えたい立場でもある
- 弁護士基準ではなく、任意保険基準で交渉される
- あなたの利益を最優先にするとは限らない
注意点:
あなたの過失割合が0%の場合(完全な被害者)、保険会社は示談代行ができません。
これは弁護士法により、利害関係のない第三者が報酬目的で法律事務を行うことが禁止されているためです。
交通事故紛争処理センター(ADR)の利用
ADR(裁判外紛争解決手続)は、裁判によらず、中立的な第三者が間に入って紛争を解決する仕組みです。交通事故専門のADRとして、交通事故紛争処理センターがあります。
- 無料で利用できる
- 弁護士などの専門家が相談に応じる
- 和解あっせんを行う
- 裁判よりも短期間で解決できる
利用の流れ:
- 電話で予約
- センターで面談相談
- 和解あっせんの申立て
- あっせん期日での話し合い
- 和解案の提示・合意
メリット:
- 費用がかからない
- 専門家のサポートが受けられる
- 裁判よりも手続きが簡易で早い
デメリット:
- 相手が和解に応じない場合、強制力はない
- あっせん案に強制力はない(ただし、保険会社は原則として受諾する義務がある)
相手側に弁護士がついている場合でも、ADRを利用することは可能です。特に、弁護士費用を負担できない場合の有力な選択肢となります。
自力で交渉する場合の注意点
どうしても弁護士に依頼できず、自力で相手側の弁護士と交渉せざるを得ない場合、以下の点に注意してください。
書面でのやり取りを基本とする
口頭での交渉は、「言った・言わない」のトラブルになりやすいです。相手の主張も自分の主張も、できるだけ書面(メール・書状)で記録に残しましょう。
即答・即決を避ける
相手の弁護士から提案や質問があっても、その場で即答せず、「検討して後日回答します」と伝えましょう。
回答期限を設けられた場合でも、十分な検討時間を確保してください。
わからないことは正直に伝える
法律用語や主張の根拠がわからない場合、わかったふりをせず、「その点について詳しく説明してください」と求めましょう。
提示された金額の根拠を確認する
相手から示談案が提示されたら、各項目の金額の根拠(何の基準で算定したか、どの判例に基づくかなど)を必ず確認してください。
重要な書類にサインする前に専門家に相談
示談書や和解書など、一度サインすると後から覆せない書類については、サインする前に必ず専門家(弁護士や無料相談窓口)に見てもらいましょう。
感情的にならない
相手の弁護士の主張に納得できなくても、感情的な対応は避けましょう。冷静に、事実と証拠に基づいて反論することが大切です。
証拠を保全する
事故状況の写真、診断書、通院記録、警察の実況見分調書など、有利な証拠はすべて保管しておきましょう。
弁護士基準と保険基準の違いを知る

相手側の弁護士と交渉する上で、損害賠償額の算定基準を理解することは非常に重要です。
3つの基準の違いと金額差
前述の通り、交通事故の損害賠償額には3つの基準があります。
自賠責基準
- 法律で定められた最低限の補償
- 自賠責保険から支払われる金額
- 上限が設けられている(傷害部分は120万円まで)
- 3つの中で最も低額
任意保険基準
- 各保険会社が独自に設定した基準
- 自賠責基準より高いが、弁護士基準より低い
- 保険会社によって金額が異なる
- 公開されていないため、詳細は不明
弁護士基準(裁判基準)
- 過去の裁判例に基づいた基準
- 弁護士が交渉や訴訟で使用する基準
- 3つの中で最も高額
- 「赤い本」「青本」という基準書に掲載
具体的な金額差の例:
入通院慰謝料(むちうち・通院3ヶ月)
- 自賠責基準:約38万円
- 任意保険基準:約50〜60万円
- 弁護士基準:約73万円
後遺障害慰謝料(14級9号・むちうち)
- 自賠責基準:32万円
- 任意保険基準:40〜50万円
- 弁護士基準:110万円
後遺障害慰謝料(12級13号)
- 自賠責基準:94万円
- 任意保険基準:100〜150万円
- 弁護士基準:290万円
このように、基準によって2倍〜3倍以上の差が生じることがあります。相手側の弁護士が提示する金額が、どの基準に基づいているかを確認し、弁護士基準との差額を把握することが重要です。
弁護士に依頼すると賠償金が増える理由
弁護士に依頼することで賠償金が増額される主な理由は以下の通りです。
弁護士基準で請求できる
弁護士は、法的根拠を持って弁護士基準による賠償額を主張します。
保険会社や相手側の弁護士も、弁護士が介入すると、裁判になった場合の見通しを考慮し、弁護士基準に近い金額で和解に応じることが多いです。
適切な損害項目を漏れなく請求できる
一般の方は、請求できる損害項目を把握しきれないことがあります。弁護士であれば、以下のような項目を漏れなく請求します。
- 通院交通費(公共交通機関だけでなく、タクシー代が認められる場合もある)
- 休業損害(主婦・主夫の家事労働も対象)
- 入通院慰謝料の増額事由(入院の有無、通院の実日数など)
- 後遺障害逸失利益(将来得られたはずの収入の損失)
- 将来の介護費用(重度の後遺障害の場合)
過失割合の適正化
弁護士は、過去の判例を詳細に調査し、有利な判例に基づいて過失割合を主張します。過失割合が5%改善するだけで、数十万円〜数百万円の差が生じることがあります。
後遺障害等級の適切な認定
弁護士のサポートにより、適切な後遺障害等級の認定を受けられる可能性が高まります。等級が1級上がるだけで、慰謝料が数百万円増えることもあります。
交渉力の差
弁護士は交渉のプロであり、法的根拠を示しながら粘り強く交渉します。「これ以上は支払えません」という保険会社の主張に対しても、適切に反論し、増額を引き出すことができます。
実際の増額事例
弁護士に依頼することで、実際にどれくらい賠償金が増えるのか、典型的な事例を紹介します。
事例1:むちうち(後遺障害14級)のケース
- 保険会社提示額:150万円
- 弁護士介入後の獲得額:280万円
- 増額分:130万円
内訳: 入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益のすべてが弁護士基準で再計算され、大幅に増額されました。
事例2:骨折で後遺障害なしのケース
- 保険会社提示額:80万円
- 弁護士介入後の獲得額:150万円
- 増額分:70万円
内訳: 通院期間が長期にわたったため、入通院慰謝料が大幅に増額。また、通院交通費や休業損害も適切に計算されました。
事例3:重傷で後遺障害12級のケース
- 保険会社提示額:600万円
- 弁護士介入後の獲得額:1,200万円
- 増額分:600万円
内訳: 後遺障害慰謝料と逸失利益が弁護士基準で大幅に増額。さらに、過失割合についても有利な判例を示し、5%改善されたことが大きく影響しました。
これらの事例からわかるように、弁護士に依頼することで、数十万円〜数百万円単位で賠償金が増額される可能性があります。
やってはいけないNG行動

相手側の弁護士が出てきた際に、絶対に避けるべき行動があります。
焦って示談書にサインする
相手側の弁護士から「早く解決しましょう」「これ以上争っても無駄です」などと言われ、焦って示談書にサインしてしまうのは最も危険です。
示談が成立すると:
- 後から「やっぱり納得できない」と言っても覆せない
- 追加の請求は一切できなくなる
- 弁護士に相談しても手遅れ
示談書にサインする前には、必ず専門家に内容を確認してもらいましょう。「今日中に返事が欲しい」と言われても、「弁護士に相談してから回答します」と伝え、時間を確保してください。
不利な発言をする
相手側の弁護士との電話や面談で、不用意な発言をしてしまうと、後々不利になることがあります。
避けるべき発言例:
- 「実は、事故の瞬間スマホを見ていた」(過失割合に影響)
- 「最近はほとんど痛くない」(慰謝料に影響)
- 「早く終わらせたいので、この金額でいいです」(交渉の余地を失う)
- 「弁護士費用がもったいない」(相手に足元を見られる)
相手の弁護士は、あなたの発言を記録し、有利な材料として使う可能性があります。特に、過失や症状について聞かれた際は慎重に答えましょう。
一人で抱え込む
「弁護士費用がもったいない」「自分で何とかしなければ」と考えて、一人で抱え込むのは危険です。
一人で抱え込むリスク:
- 本来得られるはずの賠償金を大幅に失う
- 精神的ストレスで体調を崩す
- 不利な条件で示談してしまう
- 後から後悔しても取り返しがつかない
前述の通り、弁護士費用特約があれば自己負担なしで弁護士に依頼できますし、特約がなくても増額分が弁護士費用を上回ることが多いです。まずは無料相談を利用して、専門家の意見を聞くことが大切です。
相手側の弁護士の言いなりになる
「弁護士が言うのだから正しいだろう」と考えて、相手側の弁護士の主張を鵜呑みにするのは危険です。
覚えておくべきこと:
- 相手側の弁護士は、加害者の利益を代表している
- あなたの利益を考えて助言しているわけではない
- 法律論や判例の解釈には、複数の見解がある
- 有利な情報だけを強調し、不利な情報を隠すこともある
相手の主張を聞いたら、必ず自分側の専門家にも相談し、セカンドオピニオンを得ることが重要です。
直接交渉を続ける
相手側に弁護士がついた状況で、自分一人で交渉を続けるのは非常に不利です。
直接交渉を続けるリスク:
- 法律知識の差で圧倒される
- 不利な条件を受け入れさせられる
- 有利な証拠や主張を見落とす
- 精神的に疲弊する
- 時効が迫るなど、時間的に不利になる
相手側に弁護士がついた時点で、あなたも速やかに弁護士に相談することを強くおすすめします。
よくある質問と回答

Q1. 相手が弁護士を立てると、必ず裁判になるのですか?
A. いいえ、弁護士が介入しても、多くのケースは示談交渉で解決します。弁護士同士の交渉により、むしろスムーズに解決することも多いです。ただし、双方の主張に大きな隔たりがあり、交渉では解決できない場合に、裁判(訴訟)に進むこともあります。
Q2. 相手の弁護士から直接電話がかかってきましたが、どう対応すべきですか?
A. まず、冷静に話を聞き、相手の弁護士の名前と連絡先をメモしてください。内容についての質問には答えて構いませんが、示談条件や賠償額については即答せず、「検討して後日回答します」と伝えましょう。可能であれば、電話の内容を録音または詳細にメモしておくと良いでしょう。
Q3. 弁護士費用特約を使うと、保険料は上がりますか?
A. いいえ、弁護士費用特約を使っても、保険料は上がりません。自動車保険の等級にも影響しません。安心して特約を利用してください。
Q4. 弁護士に依頼すると、示談までどれくらい時間がかかりますか?
A. ケースによって異なりますが、弁護士に依頼した場合、示談交渉の開始から2〜3ヶ月程度で成立することが一般的です。ただし、後遺障害等級の認定手続きが必要な場合や、過失割合で大きな争いがある場合は、さらに時間がかかることがあります。訴訟に進んだ場合は、半年〜1年以上かかることもあります。
Q5. 相手の弁護士の主張が正しいかどうか、どうやって判断すればいいですか?
A. 一般の方が相手の弁護士の主張の正当性を判断するのは困難です。こちら側の弁護士や無料相談窓口に相談し、専門家の意見を聞くことをおすすめします。相手が「判例ではこうなっている」と言っても、その判例が本当に適用できるのか、他にもっと有利な判例がないのか、専門家でなければ判断できません。
Q6. 弁護士に依頼したら、自分は何もしなくていいのですか?
A. 基本的な交渉は弁護士が行いますが、あなたの協力が必要な場面もあります。例えば、事故状況の詳細な説明、証拠の提供、医療機関への通院(治療の継続)、弁護士からの質問への回答などです。弁護士と密に連携し、必要な情報を提供することで、より有利な結果につながります。
Q7. 相手の弁護士から「これ以上は無理です」と言われました。本当でしょうか?
A. 交渉術として「これ以上は無理」と言っているだけの可能性があります。実際には、さらに交渉の余地があることも多いです。こちら側の弁護士に依頼すれば、法的根拠を示しながら粘り強く交渉し、増額を引き出せる可能性があります。
記事まとめ:適切な対応で正当な賠償を受けよう

交通事故の示談交渉で相手に弁護士がついた場合は、絶対に一人で対応せず、早めに専門家へ相談しましょう。 相手側が法的な知識と戦略的に交渉してくる以上、こちらも弁護士のサポートがかかります。
まず、自分や家族の保険に「弁護士費用特約」があるか確認してください。
この特があれば、自己負担なしで弁護士に依頼できます。 弁護士がつくことで「弁護士基準」の賠償交渉が可能となり、保険会社提示額より高額な賠償を受けられるケースも多いです。
談話書には焦ってサインしないこと、内容を必ず専門家に確認してもらうことも大切です。 特別がなくても、法テラスや交通事故紛争処理センター(ADR)など、無料で相談できる機関を活用しましょう。
交通事故後の示談交渉は大きな負担だが、弁護士の支援があれば冷静に有利な解決策を目指せます。
次の記事では、仙台で交通事故問題に強いおすすめの弁護士事務所をご紹介します。


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