交通事故に遭い、示談交渉を始めたものの「全然話が進まない」「弁護士に依頼したのに連絡がない」「保険会社からの返事が遅い」といった悩みを抱えていませんか?
交通事故の示談交渉は、本来であれば数ヶ月で完了することが多いのですが、さまざまな理由で長引いてしまうケースが少なくありません。
示談が進まない原因は、「過失割合で揉めている」「加害者が無保険」「保険会社の対応が遅い」「依頼した弁護士が動いてくれない」など多岐にわたります。
特に弁護士に依頼したにもかかわらず示談が進まない場合、「このまま待っていていいのか」「弁護士を変えた方がいいのか」と不安になる方も多いでしょう。
一般的に、交通事故の示談期間は物損事故で1~2ヶ月、後遺障害のない人身事故で3~6ヶ月、後遺障害が残る事故で半年~1年程度が目安とされています。
この期間を大きく超えて進まない場合は、何らかの問題が潜んでいる可能性があります。
この記事では、交通事故の示談が進まない8つの主な原因、弁護士が動いてくれない理由、そして状況別の具体的な対処法まで徹底解説します。
交通事故の示談が進まない8つの主な原因

原因1:過失割合で揉めている
示談交渉が進まない最も多い原因の一つが、過失割合についての意見の相違です。
過失割合とは、事故の責任がどちらにどれだけあるかを割合で示したものです。
例えば「加害者80%、被害者20%」といった形で決まります。この割合によって受け取れる示談金額が大きく変わるため、双方が自分に有利な割合を主張して譲らず、交渉が長引くことがあります。
- 信号の色(どちらが赤信号だったか)
- 一時停止の有無
- 車線変更や右左折時のタイミング
- 速度超過の有無
過失割合は過去の判例に基づいて決定されますが、事故の詳細な状況によって微調整が必要であり、その解釈で揉めることが多いのです。
原因2:加害者が無保険または資力不足
加害者が任意保険に未加入だったり、自賠責保険の期限が切れていたりする場合、示談交渉が非常に難航します。
保険会社が入っていれば専門の担当者が対応してくれますが、個人対個人の交渉となると以下の問題が生じます。
- 加害者に賠償金を支払う資力がない
- 加害者が責任を認めない、連絡に応じない
- 法的知識がないため交渉が進まない
- 分割払いの取り決めに時間がかかる
国土交通省の調査によると、任意保険の加入率は約75%程度であり、約4台に1台は任意保険に未加入という状況です。
原因3:治療が長引いている
交通事故の示談交渉は、原則として治療が終了してからでなければ開始できません。なぜなら、治療中は最終的な損害額が確定しないためです。
- むちうちなどの症状が改善しない
- 複数の怪我を負っている
- 後遺症の有無を見極めるため経過観察が必要
- 医師が治療継続を推奨している
特にむちうちの場合、保険会社は3ヶ月程度で治療費の打ち切りを提案してきますが、実際には6ヶ月程度の治療が必要なケースも多く、治療期間を巡って対立が生じることがあります。
原因4:後遺障害等級認定に時間がかかっている
後遺症が残った場合、後遺障害等級の認定申請を行いますが、この手続きに数ヶ月かかることがあります。
- 医療記録の収集に時間がかかる
- 後遺障害診断書の作成に時間がかかる
- 損害保険料率算出機構の審査に時間がかかる(通常1~2ヶ月)
- 認定結果に不満があり異議申し立てを行う
後遺障害等級が認定されるまで示談交渉に入れないため、この手続きが長引くと全体のスケジュールも遅れてしまいます。
原因5:保険会社の対応が遅い・悪い
加害者側の保険会社の対応に問題がある場合も、示談が進まない原因となります。
- 担当者が多忙で対応が後回しにされる
- 連絡しても返事がない、連絡が取れない
- 必要書類の提出が遅い
- 低額な示談金を提示し続けて交渉が進まない
- 担当者が頻繁に変わる
特に繁忙期や担当者の異動時期には、対応が遅れがちになります。また、一部の保険会社は意図的に交渉を長引かせることで、被害者が諦めて低い金額で妥協することを狙っているケースもあります。
原因6:依頼した弁護士が動いてくれない
弁護士に依頼したにもかかわらず示談が進まないというケースも存在します。
- 交通事故案件の経験が少なく対応に慣れていない
- 他の案件で多忙により対応が遅れている
- 進捗報告がなく、状況が分からない
- 相手方との交渉が滞っている
- 弁護士と依頼者のコミュニケーション不足
弁護士も人間であり、得意不得意や多忙な時期があります。交通事故案件に不慣れな弁護士の場合、適切な対応ができず交渉が長引くことがあります。
原因7:示談金額で大きく意見が対立している
提示された示談金額があまりにも低く、被害者が納得できない場合、交渉が難航します。
- 保険会社が自賠責基準や任意保険基準の低い金額を提示
- 被害者は弁護士基準での高い金額を希望
- 休業損害や逸失利益の計算方法で意見が対立
- 慰謝料の増額事由について認識が異なる
保険会社の最初の提示額と弁護士基準での適正額には、2倍以上の開きがあることも珍しくありません。この差を埋めるための交渉に時間がかかります。
原因8:被害者自身の対応に問題がある
まれなケースですが、被害者側の対応に問題があって示談が進まないこともあります。
- 必要書類の提出が遅れる
- 連絡が取れない
- 非現実的な高額の賠償を要求している
- 感情的になり冷静な交渉ができない
- 弁護士のアドバイスを聞かない
特に相場を大きく超える請求をしている場合、相手方が交渉に応じず、話が進まなくなることがあります。
弁護士に依頼したのに示談が進まない理由

理由1:交通事故案件に不慣れ
弁護士にも専門分野があり、すべての弁護士が交通事故案件に精通しているわけではありません。
交通事故案件の経験が少ない弁護士の場合、以下の問題が生じます。
- 過失割合の判断基準が分からない
- 適切な示談金額の相場感がない
- 後遺障害等級認定の手続きに不慣れ
- 保険会社との交渉テクニックが未熟
- 医療知識や保険制度の理解が不足
結果として、交渉が適切に進まず、時間だけが過ぎてしまうことになります。
理由2:多忙で対応が後回しになっている
弁護士が複数の案件を抱えており、多忙な場合、対応が後回しにされることがあります。
- 刑事事件や裁判期日のある案件が優先される
- 新規相談対応に時間を取られている
- スタッフ不足で事務処理が追いつかない
特に個人事務所や小規模事務所の場合、弁護士の人手不足により対応が遅れがちです。
理由3:進捗報告がなく放置されている
弁護士から連絡がなく、進捗状況が分からないまま時間だけが過ぎているケースもあります。
- 相手方からの返事待ちの状態が続いている
- 手続きが進んでいても報告を怠っている
- 依頼者への連絡を忘れている
弁護士の中には「何か動きがあったら連絡する」というスタンスの人もおり、依頼者は「放置されているのでは」と不安になります。
理由4:相手方との交渉が難航している
弁護士が動いていても、相手方との交渉が難航して進まないケースもあります。
- 過失割合で意見が対立し譲らない
- 相手方が非現実的な主張を繰り返す
- 相手方の弁護士も攻撃的で交渉が進まない
この場合、弁護士は適切に動いているものの、相手方の態度により交渉がデッドロックに陥っています。
理由5:連絡待ちの状態が続いている
実は手続きは進んでいるが、相手方や関係機関からの連絡待ちという状況もあります。
- 保険会社からの回答待ち
- 後遺障害等級認定結果の通知待ち
- 相手方弁護士からの返答待ち
- 医療記録の取り寄せ待ち
このような場合、弁護士としてはできることをやっており、待つしかない状況です。ただし、この状況を依頼者に説明していないことが問題となります。
示談が進まないときの具体的な対処法

対処法1:弁護士に進捗状況を確認する
まずは依頼している弁護士に、現在の進捗状況を確認しましょう。
- 現在どの段階まで進んでいるか
- 何を待っている状態なのか
- 今後のスケジュールの見通し
- 相手方の反応や主張内容
- 今後の方針
電話やメールで連絡し、明確な回答を求めましょう。もし弁護士本人が多忙で対応できない場合、事務スタッフから状況を聞くこともできます。
対処法2:弁護士会に相談する
弁護士に連絡しても回答が得られない、対応が改善されない場合は、弁護士会に相談することも一つの手段です。
各都道府県の弁護士会には、弁護士の業務に関する相談窓口があります。
- 弁護士への指導や注意
- 依頼者と弁護士の間の調整
- 適切な対応方法のアドバイス
ただし、弁護士会は強制力を持つわけではないため、劇的な改善が見られない場合もあります。
対処法3:交通事故に強い弁護士に変更する
現在の弁護士の対応に問題がある場合、別の弁護士に変更することが可能です。
- 交通事故案件の経験豊富な弁護士に依頼できる
- 新しい視点から事案を見直してもらえる
- 適切な交渉により早期解決が期待できる
- すでに支払った着手金は返金されないことが多い
- 新しい弁護士への着手金が別途必要になる
- 引継ぎに時間がかかることがある
費用面での負担はありますが、いつまでも進まない状況を続けるより、経験豊富な弁護士に変更した方が結果的に有利になることが多いです。
対処法4:相手方保険会社に直接確認する
被害者側の弁護士が動いていない場合、相手方の保険会社に直接連絡して状況を確認することもできます。
ただし、すでに弁護士に依頼している場合、直接交渉すると弁護士との関係が複雑になる可能性があるため、事前に弁護士に相談してから行動しましょう。
対処法5:ADR(裁判外紛争解決手続き)を利用する
示談交渉が難航している場合、ADR(Alternative Dispute Resolution=裁判外紛争解決手続き)を利用する方法もあります。
- 日弁連交通事故相談センター:無料で示談あっせんや調停を実施
- 交通事故紛争処理センター:公正・中立な立場で和解案を提示
- そんぽADRセンター:損害保険業界のADR機関
ADRを利用すると、第三者が間に入って公正な立場から解決案を提示してくれるため、当事者間では解決できなかった問題が解決することがあります。
対処法6:訴訟を検討する
示談交渉で一向に進展がない場合、最終手段として訴訟(裁判)を起こすことも選択肢です。
- 裁判所が法的に判断してくれる
- 弁護士基準での慰謝料が認められやすい
- 遅延損害金が加算される
- 時間がかかる(半年~1年以上)
- 費用がかかる(弁護士費用、印紙代など)
- 精神的負担が大きい
訴訟を起こすことを示唆するだけで、相手方が態度を軟化させて示談に応じることもあります。
対処法7:自賠責保険への被害者請求
相手方との交渉が進まない場合、示談を待たずに自賠責保険に直接請求する「被害者請求」という方法があります。
被害者請求を行うと、自賠責保険の範囲内(傷害120万円、死亡3,000万円、後遺障害75万円~4,000万円)の金額を先に受け取ることができます。
- 示談を待たずに一部の金額を受け取れる
- 当面の生活費や治療費に充てられる
- 自賠責保険分を先に受け取っても、任意保険への請求権は残る
ただし、手続きには専門知識が必要なため、弁護士に依頼することをお勧めします。
対処法8:時効に注意しながら適切に対応する
示談が進まない間に時効が成立してしまうと、賠償請求ができなくなってしまいます。
- 人身事故(治療費、慰謝料など):事故発生から5年
- 後遺障害による損害:症状固定から5年
- 物損事故:事故発生から3年
時効が近づいている場合は、以下の対応が必要です。
- 内容証明郵便で催告を行う(6ヶ月間時効が延長される)
- 訴訟を提起する(訴訟中は時効が停止する)
弁護士に依頼していれば時効管理も行ってくれますが、自分でも期限を把握しておくことが重要です。
示談を早く進めるための7つのポイント

ポイント1:治療に専念し適切な通院をする
示談交渉をスムーズに進めるためには、まず治療に専念することが大切です。
- 医師の指示に従って定期的に通院する
- 自己判断で通院を中断しない
- 症状があれば正確に医師に伝える
- 治療経過を記録しておく
適切な通院をすることで、適正な慰謝料を受け取ることができ、示談交渉もスムーズに進みます。
ポイント2:必要書類を迅速に準備する
示談交渉に必要な書類を迅速に準備することで、手続きが早く進みます。
- 診断書、診療報酬明細書
- 後遺障害診断書(後遺症が残る場合)
- 休業損害証明書
- 源泉徴収票や確定申告書
- 事故証明書
- 修理見積書(物損の場合)
書類の準備に時間がかかると、その分示談が遅れてしまいます。
ポイント3:交通事故に強い弁護士に早期に依頼する
示談が進まなくなってから弁護士に依頼するのではなく、事故直後から交通事故に強い弁護士に依頼することで、スムーズな解決が期待できます。
- 適切な治療や通院のアドバイスが受けられる
- 後遺障害等級認定の準備ができる
- 保険会社との交渉を一任できる
- 証拠保全のアドバイスが受けられる
弁護士費用特約があれば自己負担なしで依頼できるため、積極的に活用しましょう。
ポイント4:感情的にならず冷静に対応する
示談交渉では、感情的になると話がこじれて長引くことがあります。
- 相手への怒りや不満は理解できるが、感情的な発言は避ける
- 法的根拠に基づいた主張をする
- 弁護士に任せて自分は直接交渉しない
冷静に対応することで、相手方も交渉に応じやすくなります。
ポイント5:適切な示談金額を理解する
相場を大きく超える金額を要求すると、交渉が進まなくなります。
弁護士基準での適正な示談金額を理解し、現実的な範囲で交渉することが重要です。弁護士に依頼していれば、適正額を示してくれます。
ポイント6:定期的に進捗を確認する
弁護士に依頼している場合でも、定期的に進捗状況を確認しましょう。
- 月に1回程度は状況確認の連絡を入れる
- 何か動きがあったら連絡してもらうよう依頼する
- 疑問点があればすぐに質問する
積極的にコミュニケーションを取ることで、弁護士も優先的に対応してくれることがあります。
ポイント7:必要に応じて方針を柔軟に変更する
一つの方法にこだわらず、状況に応じて柔軟に方針を変更することも大切です。
- 示談交渉が難航すればADRを検討する
- ADRでも解決しなければ訴訟を検討する
- 弁護士の対応に問題があれば変更を検討する
早期解決を目指しながらも、適正な金額を受け取ることのバランスを取ることが重要です。
示談が進まない場合によくある質問

Q1:示談が進まなくても時効は進行しますか?
A:はい、進行します。交通事故の損害賠償請求権の時効は、人身事故で5年、物損事故で3年です。
示談交渉中であっても時効は進行するため、時効が近づいている場合は内容証明郵便での催告や訴訟提起を検討する必要があります。
Q2:弁護士を変更するタイミングはいつがいい?
A:以下のような状況が続く場合は、変更を検討すべきです。
- 連絡しても返事がない(1週間以上)
- 進捗報告が全くない(1ヶ月以上)
- 相談しても適切なアドバイスがもらえない
- 交通事故案件に不慣れなことが明らか
ただし、相手方からの返事待ちなど、弁護士側に非がない理由で進まない場合もあるため、まずは状況確認をしましょう。
Q3:示談が進まない間の生活費はどうすればいい?
A:以下の方法があります。
- 自賠責保険への被害者請求で一部を先に受け取る
- 自分の保険の人身傷害補償を利用する
- 労災保険が適用される場合は労災から給付を受ける
- 加害者側に内払金の支払いを求める
弁護士に相談すれば、最適な方法をアドバイスしてもらえます。
Q4:保険会社の担当者と連絡が取れない場合はどうすればいい?
A:以下の対応を順番に試してみましょう。
- 担当者に電話とメールで複数回連絡する
- 保険会社の代表電話に連絡し、上司や別の担当者への取り次ぎを依頼する
- 弁護士を立てて交渉する
- そんぽADRセンターに相談する
保険会社には対応義務があるため、適切な部署に連絡すれば改善されることが多いです。
Q5:相手が無保険の場合、示談金は諦めるしかない?
A:諦める必要はありません。以下の方法があります。
- 自分の保険の無保険車傷害特約を利用する
- 自分の保険の人身傷害補償を利用する
- 自賠責保険に被害者請求する
- 加害者本人に支払い能力があれば分割払いを交渉する
- 裁判を起こして判決を得て強制執行する
弁護士に相談すれば、最も有効な方法を提案してもらえます。
記事まとめ

交通事故の示談が進まない原因は、「過失割合の対立」「加害者の無保険」「治療の長期化」「後遺障害等級認定の遅れ」「保険会社の対応の遅さ」「弁護士が動いてくれない」「示談金額の対立」「被害者側の対応の問題」など多岐にわたります。
特に弁護士に依頼したにもかかわらず示談が進まない場合は、以下の理由が考えられます。
- 交通事故案件に不慣れ
- 多忙で対応が後回しになっている
- 進捗報告がなく放置されている
- 相手方との交渉が難航している
- 連絡待ちの状態が続いている
示談が進まない場合の対処法としては、「弁護士に進捗確認をする」「弁護士会に相談する」「交通事故に強い弁護士に変更する」「ADRを利用する」「訴訟を検討する」「自賠責保険への被害者請求を行う」などがあります。
示談を早く進めるためには、「治療に専念する」「必要書類を迅速に準備する」「交通事故に強い弁護士に早期に依頼する」「感情的にならず冷静に対応する」「定期的に進捗を確認する」ことが重要です。
示談が進まず不安を感じている方は、まず現在の状況を正確に把握し、必要に応じて交通事故に強い弁護士に相談することをお勧めします。適切な対処により、停滞していた示談交渉が動き出し、適正な金額での早期解決が期待できます。



電話する
お問い合わせ