交通事故で弁護士と保険会社の関係|なぜ保険会社は弁護士を嫌がるのか?

交通事故で弁護士に依頼した方がいい7つのケース

交通事故に遭った後、保険会社とのやり取りで「なぜこんなに低い金額しか提示されないのか」「保険会社の対応が冷たい」と感じたことはありませんか?

実は、保険会社は被害者の味方ではなく、支払う賠償金を可能な限り抑えようとする立場にあります。しかし、弁護士が介入すると保険会社の態度は一変し、提示額が2〜3倍に増額されることも珍しくありません。

なぜ保険会社は弁護士を嫌がるのか?弁護士費用特約の利用を渋るのはなぜか?

この記事では、交通事故における弁護士と保険会社の関係について、保険会社が最も嫌がる7つのこと、弁護士介入で変わる保険会社の対応、弁護士費用特約を嫌がる3つの理由、保険会社との交渉で被害者が知っておくべきポイントなどを、わかりやすく解説します。

保険会社との交渉を有利に進め、適正な賠償金を受け取るための知識を身につけましょう。

目次

交通事故における保険会社の役割と立場

交通事故における保険会社の役割と立場

保険会社は被害者の味方ではない

多くの被害者が誤解していることですが、加害者側の保険会社は被害者の味方ではありません。

保険会社は営利企業であり、支払う賠償金を可能な限り抑えることで利益を確保しようとします。

保険会社の立場
  • 加害者の代理人として示談交渉を行う
  • 支払う賠償金を低く抑えることが会社の利益につながる
  • 被害者の利益よりも会社の利益を優先する

保険会社が使う交渉テクニック

保険会社は、長年の経験から被害者を説得するための様々な交渉テクニックを持っています。

よくある交渉テクニック
  1. 「これが限界です」と言って諦めさせる
  2. 専門用語を多用して被害者を困惑させる
  3. 早期に示談を迫り、十分な検討時間を与えない
  4. 「弁護士基準は裁判になった場合だけ」と誤った説明をする
  5. 治療費を早期に打ち切り、示談を急がせる

保険会社が最も嫌がる7つのこと

保険会社が最も嫌がる7つのこと

保険会社が交通事故の示談交渉で最も嫌がることを理解しておくことは、適正な賠償金を受け取るために重要です。

嫌がること1:損害賠償請求について正しい知識を持っている被害者

保険会社は、被害者が慰謝料の算定基準や過失割合について正しい知識を持っていると、低い金額で示談させることが難しくなります。

対策
  • 弁護士基準(裁判基準)で慰謝料を計算する
  • 過去の判例を参考にして適正な金額を把握する
  • 交通事故に関する基礎知識を学ぶ

嫌がること2:医師の指示通りに適切に通院する被害者

通院頻度が適切で、医師の診断に基づいて治療を継続している被害者に対しては、保険会社は治療費の打ち切りや慰謝料の減額が難しくなります。

ポイント
  • 医師の指示通りに通院する
  • 痛みや違和感があれば必ず医師に伝える
  • 通院記録をきちんと残す

嫌がること3:適切な後遺障害等級認定を受ける

後遺障害等級が認定されると、保険会社が支払う賠償金額が大幅に増加します。

そのため、保険会社は被害者が適切な等級を取得することを望んでいません。

対策
  • 後遺障害診断書を専門医に丁寧に書いてもらう
  • 医療記録を整理し、症状を客観的に証明する
  • 必要に応じて異議申立てを行う

嫌がること4:弁護士に相談・依頼する

保険会社が最も嫌がるのが、弁護士の介入です。弁護士が入ると、以下のような変化が起こります。

弁護士介入による変化
  • 低額な任意保険基準ではなく、高額な弁護士基準で請求される
  • 法的根拠に基づいた主張をされるため反論が難しくなる
  • 専門用語や曖昧な説明で誤魔化すことができなくなる
  • 不当な治療費の打ち切りや示談の強要ができなくなる

嫌がること5:弁護士費用特約を利用する

弁護士費用特約を利用されると、保険会社は弁護士費用を負担しなければならず、さらに賠償金額も増額されるため、大きな出費となります。

嫌がること6:裁判を起こす

裁判を起こされると、保険会社は弁護士基準での支払いを覚悟しなければなりません。また、裁判費用や弁護士費用の負担も発生します。

嫌がること7:ADRセンター(裁判外紛争解決機関)に相談する

日弁連交通事故相談センターなどのADR機関を利用すると、中立的な第三者が介入するため、保険会社の不当な主張が通りにくくなります。

弁護士介入で保険会社の対応はどう変わるか?

弁護士介入で保険会社の対応はどう変わるか?

弁護士介入前の保険会社の対応

典型的な対応
  • 低額な示談金を提示する(任意保険基準または自賠責基準)
  • 「これが限界です」と言って増額を拒否する
  • 治療費を早期に打ち切ろうとする
  • 過失割合を被害者に不利に設定する
  • 高圧的な態度や専門用語で被害者を困惑させる

弁護士介入後の保険会社の対応

弁護士が介入すると、保険会社の対応は劇的に変化します。

変化後の対応
  1. 提示額が大幅に増額される:任意保険基準から弁護士基準に切り替わる
  2. 態度が丁寧になる:高圧的な態度から礼儀正しい対応に変わる
  3. 専門用語の多用が減る:弁護士相手には通用しないため
  4. 不当な主張を撤回する:法的根拠がない主張はできなくなる
  5. 交渉がスムーズに進む:無理な引き延ばしができなくなる

具体的な増額事例

事例1:むちうちで3ヶ月通院

  • 保険会社の提示額:約22万円(任意保険基準)
  • 弁護士介入後:約53万円(弁護士基準)
  • 増額:約31万円(約2.4倍)

事例2:後遺障害14級が認定されたケース

  • 保険会社の提示額:約100万円
  • 弁護士介入後:約200万円
  • 増額:約100万円(2倍)

事例3:後遺障害12級が認定されたケース

  • 保険会社の提示額:約300万円
  • 弁護士介入後:約600万円
  • 増額:約300万円(2倍)

保険会社が弁護士費用特約を嫌がる3つの理由

保険会社が弁護士費用特約を嫌がる3つの理由

弁護士費用特約は被害者にとって非常に有利な制度ですが、保険会社は利用を嫌がることがあります。

理由1:弁護士費用を負担したくない

弁護士費用特約を利用されると、保険会社は最大300万円までの弁護士費用を負担しなければなりません。これは保険会社にとって大きな出費です。

弁護士費用の内訳
  • 着手金:10万円〜30万円
  • 成功報酬:増額分の10〜20%+固定額
  • 法律相談料:最大10万円まで

理由2:示談金が大幅に増額される

弁護士が介入すると、任意保険基準から弁護士基準に切り替わるため、保険会社が支払う示談金が2〜3倍に増額されることがあります。

保険会社の負担増加
  • 弁護士費用:最大300万円
  • 示談金の増額分:数十万円〜数百万円
  • 合計:数百万円の追加負担

理由3:軽微な事故で費用対効果が低い

損害が小さい事故の場合、弁護士費用が示談金の増額分を上回る可能性があり、保険会社は「費用対効果が低い」と判断して利用を渋ることがあります。

保険会社の言い分(正当性はない):
  • 「軽微な事故なので弁護士は不要です」
  • 「示談交渉で争いがないので弁護士特約は使えません」
  • 「過失がある場合は特約が使えません」

保険会社が弁護士特約を嫌がられたときの対処法

保険会社が弁護士特約を嫌がられたときの対処法

保険会社から「弁護士特約は使えません」と言われても、諦める必要はありません。

対処法1:保険契約の内容を確認する

まずは、自分の保険証券や約款を確認し、弁護士費用特約の適用条件を把握しましょう。

確認ポイント
  • 弁護士費用特約に加入しているか
  • 適用範囲(自動車事故のみ、または日常生活も含むか)
  • 補償上限額(通常は300万円)
  • 免責事項

対処法2:保険会社に書面で利用を申請する

口頭ではなく、書面(メールでも可)で弁護士費用特約の利用を正式に申請しましょう。

申請書に記載する内容
  • 契約者情報
  • 事故の概要
  • 弁護士費用特約を利用したい旨
  • 依頼する弁護士の情報

対処法3:保険会社の相談窓口・苦情受付窓口に連絡する

担当者が弁護士特約の利用を認めない場合は、保険会社の相談窓口や苦情受付窓口に連絡しましょう。

対処法4:弁護士に相談する

保険会社が不当に弁護士特約の利用を拒否している場合は、弁護士に相談しましょう。

弁護士から保険会社に働きかけることで、利用が認められることがあります。

対処法5:金融ADR制度を利用する

保険会社との紛争が解決しない場合は、そんぽADRセンター(一般社団法人日本損害保険協会)に相談することもできます。

弁護士に依頼するときに保険会社が行う妨害行為と対策

弁護士に依頼するときに保険会社が行う妨害行為と対策

妨害行為1:「弁護士に依頼しても意味がない」と言う

保険会社の主張: 「弁護士に依頼しても金額は変わりません」

真実: 弁護士基準で請求すれば、大幅に増額される可能性が高い

妨害行為2:「裁判になっても同じです」と脅す

保険会社の主張: 「裁判を起こしても、この金額が変わることはありません」

真実: 裁判になれば弁護士基準が適用され、大幅に増額される

妨害行為3:示談を急がせる

保険会社の主張: 「早く示談した方が、早くお金を受け取れますよ」

真実: 示談を急ぐ必要はない。弁護士に相談してから決めるべき

妨害行為4:弁護士特約の利用を認めない

保険会社の主張: 「この事故では弁護士特約は使えません」

真実: 多くの場合、弁護士特約は利用できる。保険約款を確認すべき

被害者が知っておくべき保険会社との交渉ポイント

被害者が知っておくべき保険会社との交渉ポイント

ポイント1:保険会社の提示額をそのまま受け入れない

保険会社が最初に提示してくる金額は、法的に正当な金額(弁護士基準)よりも大幅に低いことがほとんどです

【対策】

  • 弁護士基準で自分で計算してみる
  • 弁護士の無料相談を利用して金額の妥当性を確認する
  • 不当に低い場合は増額交渉を行う

ポイント2:やり取りは記録を残す

保険会社とのやり取りは、後から「言った・言わない」のトラブルを避けるため、できる限り記録を残しましょう。

記録方法

  • メールや書面でやり取りする
  • 電話の内容は日時・相手の名前・内容をメモする
  • 必要に応じて録音する(相手に伝える)

ポイント3:示談書にサインする前に必ず弁護士に相談する

示談書にサインすると、原則として後から変更できません。サインする前に、必ず弁護士に内容を確認してもらいましょう。

ポイント4:治療費を打ち切られても通院を続ける

保険会社が治療費を打ち切っても、医師が治療の必要性を認めている場合は、自費でも通院を継続しましょう。後から請求できます。

ポイント5:弁護士費用特約があれば積極的に活用する

弁護士費用特約に加入している場合(加入率約70%)、自己負担なしで弁護士に依頼できます。

保険会社が渋っても、積極的に活用しましょう。

ポイント6:保険会社の態度が悪い場合は担当者を変更してもらう

保険会社の担当者の態度が悪い、対応が遅い、説明が不十分な場合は、相談窓口に連絡して担当者の変更を依頼できます。

ポイント7:一人で悩まず弁護士に相談する

保険会社との交渉で困ったことがあれば、一人で悩まず、早めに弁護士に相談しましょう。

多くの法律事務所が無料相談を実施しています。

よくある質問(Q&A)

よくある質問(Q&A)
弁護士が介入すると、保険会社との関係が悪化しませんか?

保険会社との関係を心配する必要はありません。弁護士が介入することで、むしろ交渉がスムーズに進み、早期解決につながることが多いです。

保険会社が「弁護士特約は使えない」と言いますが本当ですか?

多くの場合、保険会社の説明は不正確です。保険約款を確認し、正当な理由なく拒否されている場合は、弁護士に相談しましょう。

弁護士に依頼すると示談が長引きませんか?

むしろ、弁護士に依頼することで示談交渉がスムーズに進むことが多いです。弁護士介入後、1〜3ヶ月程度で示談成立するケースが一般的です。

保険会社から弁護士を紹介されましたが、依頼してもいいですか?

保険会社が紹介する弁護士は、保険会社側の立場で動くことが多いため、被害者の利益を最優先にしない可能性があります。自分で交通事故に強い弁護士を選ぶことをおすすめします。

相手が弁護士を立ててきました。こちらも弁護士に依頼すべきですか?

はい、すぐに弁護士に依頼すべきです。相手方が弁護士を立てているのに、被害者が一人で交渉するのは非常に不利です。

記事まとめ

記事まとめ

交通事故において、保険会社と弁護士の関係を理解することは、適正な賠償金を受け取るために非常に重要です。

この記事のポイント
  1. 保険会社は被害者の味方ではなく、支払額を抑えようとする立場
  2. 弁護士が介入すると、保険会社の態度が変わり、示談金が2〜3倍に増額される
  3. 保険会社は弁護士特約の利用を嫌がるが、正当な理由なく拒否できない
  4. 保険会社の提示額をそのまま受け入れず、弁護士基準で計算すべき
  5. 弁護士費用特約があれば、自己負担なしで弁護士に依頼できる
  6. 保険会社の交渉テクニックに惑わされない
  7. 示談書にサインする前に必ず弁護士に相談する

交通事故に遭ってしまったら、保険会社の言いなりにならず、まずは弁護士に無料相談することをおすすめします。

適切な知識と専門家のサポートがあれば、正当な賠償金を受け取り、安心して治療や日常生活に専念できる環境を整えることができます。

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