会社や官公庁などの雇用主から給与を受け取っている給与所得者が交通事故に遭い怪我を負った場合、しばらくの間働くことができなくなります。怪我の状態から数日で復帰できることもあれば数カ月間もの長期間仕事を休む必要が出てくる場合もあるでしょう。交通事故のせいで仕事を休み、減少してしまった給与は「休業損害」として加害者側に請求することができます。
休業損害とは、傷害事故によって被害者が治療または療養のために仕事を休むことや不十分な就業を余儀なくされたことによって、症状固定時期までの間に生じた収入の減少のこと
「給与所得者の休業損害はいくらになるのか?」は多くの方が最も気になるポイントですが、実際の月収や直近の欠勤日数、そして「どの算定基準で計算するか」によって金額は大きく変わります。中には「有給休暇を使ったから損をしてしまうのでは?」と心配される方もいますが、有休消化分もしっかりと補償の対象になります。
この記事を読むと、会社員などの給与所得者がもらえる休業損害額、会社に書いてもらう「休業損害証明書」の注意点や、有休・ボーナスが減った場合の対処法まで、知っておくべき知識が身に付きます。この記事では、給与所得者の休業損害について掘り下げて書いていますが、休業損害の全体像を知りたい方は以下の記事も併せてご覧ください。

給与所得者とは?
交通事故の補償において、最も実態を把握しやすく、休業損害が認められやすいのが「給与所得者」です。
会社や事業主と雇用契約を結び、労務を提供した対価として「給与(お給料・賞与など)」を受け取っている人です。具体的には以下のような働き方をされている方が該当します。
- 正社員
- 契約社員
- 派遣社員
- パート・アルバイト
「パートやアルバイトだと休業損害はもらえないのでは?」と不安になる方もいらっしゃいますが、雇用形態に関わらず、お給料をもらって働いている方であれば全員一律に請求する権利がありますのでご安心ください。
社内で働いていても業務委託や外部委託(フリーランス・個人事業主など)として契約している人は、原則として給与所得者ではなく自営業者に分類されます。
参考:自営業者(個人事業主)の休業損害について
給与所得者の休業損害の計算方法
「休業損害の基礎知識」の記事でもご紹介した通り、休業損害は以下のシンプルな算定式で計算されます。
休業損害=1日当たりの基礎収入×休業日数
給与所得者の「1日当たりの基礎収入」の計算方法は、加害者側の自賠責保険を使うか、弁護士基準(裁判基準)で請求するかによって大きく異なります。

- 自賠責基準
-
自賠責保険の損害額算定の基準
- 任意保険基準
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各保険会社が個別に定めた支払い基準
- 弁護士(裁判)基準
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過去の裁判例に基づく最も高額で適正な基準

| 自賠責基準 | 弁護士基準 | |
|---|---|---|
| 1日当たりの基礎収入 | 原則 6,100円 給与明細などで証明できれば 上限 19,000円 | 事故前3ヶ月間の総支給額 ÷ 90日(実額) |
| 休業日数 | 実際に仕事を休んだ日数 | 実際に仕事を休んだ日数 |
| 特徴 | 一律で計算されるため、平均以上の収入がある人は損をする可能性が高い。 | 実際の総支給額をベースにするため、実損害をしっかりカバーできる。 |
必要書類:休業損害証明書
給与所得者が休業損害を請求するためには、勤務先に「休業損害証明書」を作成してもらう必要があります。この書類は、加害者側の保険会社から送られてくるのが一般的です。基本的には会社の総務や人事、経理担当者に記入してもらいます。正しく記載されているか以下のポイントをチェックしましょう。
- 事故前3ヶ月間の稼働日数と総支給額
- 休業した日(欠勤・有休・遅刻・早退)の内訳
- 会社の社印(代表者印)
- 前年分の源泉徴収票の添付
給与所得者の「休業損害」に関するよくある疑問
給与所得者が適正な休業損害を受け取るために
給与所得者の休業損害は、一見すると「お給料をもらっているから計算も簡単だろう」と思われがちです。しかし、実際には「有給休暇や早退の扱い」「転職直後や季節変動がある場合のイレギュラーな計算」「ボーナス減額の証明」など、専門的な知識がないと見落としてしまうポイントが多く潜んでいます。
特に、加害者側の保険会社から提示される金額は、低額な「自賠責基準」をベースにしていることが少なくありません。過去の裁判例に基づいた「弁護士基準」で算定すれば、より高額で適正な補償を受け取ることができます。
怪我の痛みに耐えながら仕事の心配をし、さらに保険会社と複雑な交渉を行うのは精神的にも大きな負担です。「この金額で示談して本当にいいのだろうか」と少しでも不安を感じたら、ぜひ仙台青葉ゆかり法律事務所へお気軽にご相談ください。本来あなたが受け取るべき休業損害をしっかりと算出し、安心して治療と仕事復帰に専念できるよう全力でサポートいたします。

