交通事故に遭いケガの治療が終わっても痛みやしびれなどの後遺症が残る場合があります。そのような場合は、後遺障害等級の認定を受けることで各等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益などの賠償金を請求することができます。
後遺障害等級9級の慰謝料相場や主な症状や認定基準を分かりやすく解説します。
後遺障害等級9級とは?
後遺障害等級は1級~14級までの16段階に分けられており、そのうち後遺障害等級9級は日常生活や仕事において明確な支障・制限が生じる程度の後遺症となります。
損保料率算出機構の発行する「2025年自動車保険の概況 」によると、後遺障害等級9級の認定件数は1,230件に上り、後遺障害認定全体の35,216件に対して、3.49%となります。
後遺障害等級9級の後遺障害慰謝料

後遺障害等級9級の後遺障害慰謝料は、どの「算定基準」を用いて計算するかによって大きく異なります。慰謝料の算定基準には以下の3つがあります。
後遺障害慰謝料とは、交通事故で後遺症が残ってしまった被害者の「肉体的・精神的苦痛」に対して支払われる賠償金です。
| 算定基準 | 後遺障害慰謝料の額 |
|---|---|
| 自賠責 基準 | 245万円 |
| 任意保険 基準 | 原則非公開 |
| 弁護士 基準 | 690万円 |
- 自賠責基準
-
自賠責保険の損害額算定の基準
- 任意保険基準
-
各保険会社が個別に定めた支払い基準
- 弁護士基準
-
過去の裁判例に基づく最も高額で適正な基準

後遺障害等級9級の逸失利益
後遺障害等級認定を受けると逸失利益を請求することができます。
逸失利益とは、後遺症や死亡によって将来得られるはずだったのに失ってしまった収入に対する補償
逸失利益は、原則として以下の計算式で算出します。
逸失利益の計算式
逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
後遺障害等級9級の場合、労働能力喪失率は原則35%として計算されます。
後遺障害等級9級の主な症状や認定基準
| 9級 | 部位 | 症状 |
|---|---|---|
| 1号 | 眼 | 両眼の視力が0.6以下になったもの |
| 2号 | 眼 | 1眼の視力が0.06以下になったもの |
| 3号 | 眼 | 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの |
| 4号 | 眼 | 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの |
| 5号 | 鼻 | 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの |
| 6号 | 口 | 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの |
| 7号 | 耳 | 両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの |
| 8号 | 耳 | 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの |
| 9号 | 耳 | 1耳の聴力を全く失ったもの |
| 10号 | 神経 精神 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
| 11号 | 腹部 | 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
| 12号 | 手 | 1手の親指又は親指以外の2の手指を失ったもの |
| 13号 | 手 | 1手の親指を含み2の手指の用を廃したもの又は親指以外の3の手指の用を廃したもの |
| 14号 | 足 | 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの |
| 15号 | 足 | 1足の足指の全部の用を廃したもの |
| 16号 | 醜状 | 外貌に相当程度の醜状を残すもの |
| 17号 | 腹部 | 生殖器に著しい障害を残すもの |
9級1号:両眼の視力が0.6以下になったもの
- 視力
-
裸眼視力だけではなくメガネやコンタクトレンズで矯正した視力
交通事故などの影響により、両方の目の視力が 0.6以下 に低下した状態を指します。日常の軽度な作業は支障なくこなせるケースも多いですが、長時間のデスクワーク・運転・遠近感や距離感の把握が必要な作業においては、疲れやすさや違和感が生じやすくなります。
事故前後で視力が悪化したかどうかを証明するため、事故前の視力と症状固定時の正確な測定結果が必要となります。
また、片眼の場合は後遺障害等級13級1号に該当します。
9級2号:1眼の視力が0.06以下になったもの
- 視力
-
裸眼視力だけではなくメガネやコンタクトレンズで矯正した視力
また、両眼の場合は後遺障害等級4級1号に該当します。
9級3号:両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
- 半盲症
-
視界の右半分もしくは左半分が見えなくなる視野障害
- 視野狭窄
-
視野が狭くなる視野障害
- 視野変状
-
視野の一部に点状や斑模様の欠損が生じる視野障害
これらのいずれかの症状によって視野が欠け、通常の視野の60%以下となった場合、後遺障害等級9級3号に該当します。なお、片眼に視野障害が残った場合には、後遺障害等級13級3号に該当します。
9級4号:両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
- まぶたに著しい欠損を残すもの
-
まぶたを閉じた場合に黒目(角膜)を完全に覆えない程度
また、片眼のまぶたの場合は後遺障害等級11級3号に該当します。
9級5号:鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
- 鼻の欠損
-
鼻軟骨部の全部又は大部分を失う
- 鼻の機能に著しい障害
-
鼻呼吸困難または嗅覚脱失
外貌醜状として後遺障害等級の認定を受ける場合もあります。
9級6号:咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
- 咀嚼の機能に障害を残すもの
-
ある程度固形食は摂取できるが、これに制限があって、咀嚼が十分でない状態
- 言語の機能に障害を残すもの
-
4種の語音のうち、1種の発音ができない状態
- 口唇音(ま行音、ば行音、ぱ行音、わ行音、ふ)
- 歯舌音(な行音、た行音、だ行音、ら行音、さ行音、しゅ、し、ざ行音、じゅ)
- 口蓋音(か行音、が行音、や行音、ひ、にゅ、ぎゅ、ん)
- 喉頭音(は行音)
片方の機能障害が残った場合は、後遺障害等級10級3号に該当します。
9級7号:両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
- 平均純音聴力レベルが60dB以上のもの
- 平均純音聴力レベルが50dB以上であり、かつ、最高明瞭度が70%以下のもの
9級8号:1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
- 平均純音聴力レベルが80dB以上のもの
- 平均純音聴力レベルが50dB以上80dB未満であり、かつ、最高明瞭度が30%以下のもの
- 平均純音聴力レベルが50dB以上のもの
- 平均純音聴力レベルが40db以上であり、かつ、最高明瞭度が70%以下のもの
9級9号:1耳の聴力を全く失ったもの
- 平均純音聴力レベルが90dB以上のもの
- 両耳の平均純音聴力レベルが80dB以上であり、かつ、最高明瞭度が30%以下のもの
また、両耳の場合は後遺障害等級4級3号に該当します。
9級10号:神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
通常の労務に服することはできるが、就労可能な職種が相当程度に制約されるものが該当します。
- 身体的能力は正常であっても、脳損傷に基づく精神的欠損症状が推定される場合
- てんかん発作やめまい発作発現の可能性が、医学的他覚的所見により証明できる場合
- 軽度の四肢の単麻痺が認められる場合 など
9級11号:胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
- ペースメーカーを植え込んだ
- 食道の狭さくによる通過障害を残す
- 便失禁を残すもので常時おむつの装着が必要
- 一側のじん臓を失ってFRが30ml/分を超え50ml/分以下 など
9級12号:1手の親指又は親指以外の2の手指を失ったもの
- 手指を失ったもの
-
親指は指節間関節(第1関節)、その他の手指は近位指節間関節(第2関節)以上を失った
9級13号:1手の親指を含み2の手指の用を廃したもの又は親指以外の3の手指の用を廃したもの
- 手指の末節骨の長さの1/2以上を失った
- 中手指節関節又は近位指節間関節の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限される
- 親指については、橈側外転又は掌側外転のいずれかが健側の1/2以下に制限されている
- 手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失した
9級14号:1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
- 第1の足指
-
足の親指
- 足指を失ったもの
-
中足指節関節(付け根の関節)から先をすべて失った状態
9級15号:1足の足指の全部の用を廃したもの
- 指が切断された
- 関節が強直して全く動かせない状態となった
- 末関節の長さの半分以上を失った
- 第二関節、第三関節を失った、可動域が1/2以下に制限された
両足の足指の全部の用を廃した場合は、後遺障害等級7級11号に該当します。
9級16号:外貌に相当程度の醜状を残すもの
- 外貌
-
頭部、顔、首などの日常的に人目に付く露出している部位
- 相当程度の醜状を残すもの
-
顔面部に残った長さ5センチメートル以上の線状痕
9級17号:生殖器に著しい障害を残すもの
- 生殖器に著しい障害
-
生殖機能は残存しているものの、通常の性交では生殖を行うことができない
- 陰茎の大部分を欠損
- 勃起障害を残すもの
- 射精障害を残すもの
- 膣口狭さくを残すもの など
交通事故の後遺症が残ったら弁護士に相談
交通事故後に痛みやしびれなどの後遺症が残ってしまった場合、適切な補償を受けるためには「早い段階で弁護士に相談すること」を強くおすすめします。
- 後遺障害等級の認定確率が高まる
- 弁護士基準を用いて交渉できる
- 保険会社とのやり取りをすべて代行

「自分は9級に該当するのだろうか」「保険会社からの提示額が妥当かわからない」とお悩みの方は、後遺障害申請を行う前の段階から仙台青葉ゆかり法律事務所にご相談ください。後遺障害等級認定のサポートから示談交渉まで被害者に寄り添いサポートさせていただきます。


